脂肪を落とす市販薬があるって聞いたんだけど、どれを選んだらいいのかな?
そんな疑問を解決できる記事を書きました。
結論から言うと、脂肪のつき方の原因によって、効果が十分に出るお薬をきちんと選択する必要があります。
しかし、これからの記事を最後まで読めば、きちんと理解した上で簡単にお薬を決めることができるようになります。
なぜなら僕が薬剤師で、調剤薬局とドラッグストアの両方に勤務経験があり同じような悩みを持つ方と多く接していてお薬の相談を受けているからこそお話できるのです。
市販薬で本当に痩せるのか?
実は、市販で購入できる脂肪に効くと唱っている医薬品の中身は、漢方薬がベースとなっており、ダイエットにターゲットを絞ったものではなく、体の不調を改善し健康になることを目的として長い間使われてきたものですから、飲めば飲むほど体重が落ちるというものではありません。
しかし、余分な脂肪が付いてしまう原因を改善することで、結果的に痩せることは可能と考えます。
その漢方薬は大きく分けて3種類あり、それぞれ
「防風通聖散」、「防已黄耆湯」、「大柴胡湯」
に分かれており、脂肪のつき方や体質によって選び方が違ってくるため、タイプを間違えて服用すると全然効かないということになりかねないのです。
これから、そのタイプ別の選び方を説明していきましょう。
脂肪のつき方の原因を3つに分類
ご自分はどのタイプに当てはまるか、見てみましょう。
タイプ1:【 便秘 】お腹まわりの脂肪
便秘が続くと、腸内細菌により便中の栄養分が分解され、さらに栄養分が吸収され肥満が進むと考えられています。
腹部に皮下脂肪が多いポッコリとしたおなかで、便秘がちの方の肥満タイプには防風通聖散が有効です。
タイプ2:【 水太り 】下半身ぽっちゃり
夕方になると足がむくむ。足だけでなく、体全体もだるく感じる。
消化・吸収・運搬・排泄など消化器系の働きが弱いとエネルギー代謝が悪くなるため、それほど食べていないのに太る。お尻や太ももなどのがぽっちゃりが気になる。
このような疲れやすく、水分などの代謝の悪いタイプには防已黄耆湯が有効です。
タイプ3:【 ストレス食い 】あちこち気になる脂肪
イライラやストレスが原因で、ホルモンバランスが崩れて必要以上に食べてしまう。
過剰なエネルギー摂取により脂肪をため込んでしまうため、気になる部位があちこちに出てきてしまいます。
このような方には脂質代謝を上げ、イライラを抑える大柴胡湯が有効です。
脂肪のつき方にあわせた選び方
それぞれの脂肪のつき方によって、どの漢方薬がいいのか見てみましょう。
防風通聖散が効果ある人
- お腹まわりが気になる。
- 便秘がち。
- 冷たい飲み物を好む。
- 味の濃い食べ物を好む
普段から高カロリーな食事を好み、お腹(おへそのあたり)がポッコリと前に突き出ているような肥満の方に使います
防已黄耆湯が効果がある人
- そんなに食べていない。水を飲んだだけで太る。
- 膝が痛いため、あまり運動はできない。
- 運動しようとしても、汗ばっかりかいてすぐに疲れてしまう。
ぽっちゃりタイプで、下腹の肉がブヨブヨしていて下に垂れている方。全体の水代謝が悪く、上半身は汗をかきやすいのに、下半身は浮腫みやすい、それによって下半身が冷えやすい、膝関節が痛くなりやすいというタイプの方に使います。
大柴胡湯が効果がある人
- イライラしやすい。
- ストレスが溜まっている。
- 脇腹からみぞおちにかけて苦しい感じがある。
- 便秘しやすい。
イライラしやすかったりストレスが溜まって過剰に食べてしまうような方に使います。
このタイプの人は、からだを守ろうとするストレスホルモンの働きで、からだのあちこちに脂肪がつきやすくなっています。
効果の違いを解説
それぞれの漢方薬の効能を細かく見てみましょう。
防風通聖散
- カロリーの多い食事をすると、体内に熱が生じる。
- この熱を発散させられなければ、体内に熱がこもり、こもった熱は臓器を弱らせる。
- 臓器が弱ると代謝が悪くなり、体内に余分なものを溜めやすい体質となる。
- また腸内の熱は便を乾燥させるので便秘になり、便秘はまた体重増加の原因にもなる。
防風通聖散には18種類の生薬が少量ずつ配合されており、体内にこもっている熱を冷ますはたらきを持つ生薬、食べ過ぎて弱った臓腑のはたらきを改善させる生薬、体内に溜め込んでしまった余分なものを体の外に出させる生薬、などがバランスよく配合されています。
反対に、服用を適さないのは
- 冷え性の方・・・服用を続けていると体を冷やしやくなります。
- 胃腸が弱い人方・・・服用すると下痢をしやすくなります。
防己黄耆湯
- 色白で
- 筋肉がとても軟らかくて力が弱く
- すぐに疲れる
という方に適しています。
胃腸を元気にすることで食べたものをエネルギーに変え、それを使う力、つまり代謝を活性化させて、筋肉のしまりのないからだを引き締める働きがあります。
エネルギーを使う力が高まると、全身の機能も高まり、疲れにくくなります。また、消化を助けながら余分な水も取り除きむくみを改善していくのです。
大柴胡湯
- 精神的に鬱々とした状態が原因で、胃腸の動きが悪くなっていて
- そして食べ物が胃腸内に停滞しやすく、腹部膨満感がある。
という方に適しています。
大柴胡湯には、弱まった消化管の蠕動運動を促進するはたらきのある生薬が配合されているので、ストレスなどで鈍くなったエネルギーの停滞を改善し、流れを良くすることで体の熱を取り除く働きがあります。
ストレスに伴う、高血圧、肩こり、頭痛、不眠などがある人にも適していますが、イライラと熱しやすい、熱っぽいものを冷ます薬ですので、もともと冷え症の人、元気のない人には適していません。
それぞれの漢方薬を使った市販薬
同じ漢方薬でも、各メーカーで独自の商品名で販売するのでたくさんあるように感じますが、基本的にはこの3種類に絞られてきます。
防風通聖散を使った商品
防己黄耆湯を使った商品
大柴胡湯
まとめ
脂肪のタイプ別で、選ぶべきお薬の違いを理解できたでしょうか。
自身の体質や、状況によってお薬の利き方が変わってきますので、飲んでいても全然効かなかったり、体調がよくないけど痩せるために我慢して飲み続けるということはやめましょう。
反対に、体重は目立って変わらなくても、冷えが改善してきたとか、よく眠れるようになったとか、体の調子がいいと感じたものはそのまま続けてみましょう。
- 【便秘】お腹まわりの脂肪型には「防風通聖散」
- 【水太り】代謝が悪い下半身太りには「防已黄耆湯」
- 【暴飲暴食】イライラ・ストレス太りには「大柴胡湯」
最後に
購入前にかかりつけ医師、または薬剤師に相談しましょう
市販薬であっても、自己判断で薬を使用することは危険です。
特に、妊娠中の方や持病がある方などは、必ず購入前に医療機関や薬剤師に相談しましょう。
服用中のお薬がある方は飲み合わせによっては副作用のリスクが高まるため注意が必要です。たとえ目薬など外用剤だけだからとか、内服薬ではないから大丈夫ということはありません。病気自体に影響のある場合があります。
使用中の市販薬・処方薬がある場合はかならず医師や薬剤師に相談してから購入してください。